キャタピラー/若松孝二
秋がくると、夏の疲れがドバッときそうなそんな厳しい残暑です。
富士登山でのことだ。
旅行会社のツアーに参加した18人のうち、中学生くらいの姉弟を連れた60歳代の小柄な祖母ちゃんがいました。3人ともこの富士登山のために上下揃えたという真新しい格好をしています。祖母ちゃんの方は他の参加者と世間話をしたりしていましたが、姉弟はなかなか他人とのコミュニケーションをとれないというタイプのようでした。もっとも、周囲は皆50・60のジジババではコミュニケーションのとりかたが解らなかったのかも知れません。
弟の方は最後まで元気だったが姉の方が8合目あたりで高山病に罹りフラフラの状態。リタイアするのかな?と見ていたのだが、祖母ちゃに腰を押されながらもどうにかこうにか頂上に到着。達成感を味わう気力もなく茶屋のストーブの傍でグッタリとうつむいたままでした。
やがて、下山という時間になると、祖母ちゃんは姉のリュックの中味を全部自分のリュックに移し替えて、空になったリュックを姉に背負わせたのです。そして、私のような男にも厳しい下山道を、二人分の荷物を背負い姉に肩を貸し腰に手を回したまま下りきったのです。
弱った孫娘に、水を飲ませたり、チョコレートを食べさせ、励ましの声をかける。
「イザとなったら女は強いなぁ!
男なんか敵わないんじゃぁないだろうか」
私は、身長150センチ弱の祖母ちゃんの姿を見ながら、そんなことを思ったのでした。
『キャタピラー/若松孝二監督』を観てきた。

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キャタピラー
CATERPILLAR
若松孝二監督
こういう映画を観てしまうと、これまで観てきた“反戦映画”はただのメロドラマだったように思えるし、これから観る“反戦映画”と称する映画はただのアクション映画になるかもしれない。
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