ベンちゃんとゲンちゃん
被災地応援のニュースが溢れているが、私のような根性ワルなオヤジには、
「これってサー、被災地応援に名を借りた要は営業活動じゃないの」
と言いたくなるような美談仕立てもチラチラ見えたりして
シラケることも多いワケよ。
もっとも、美談でも偽善でも、少しでも被災地のためになることだったら良いことなんだろうけどね。
さて、
数年前まで駅近辺を歩いていると見事な毛並みの犬が散歩しているのを何回か見かけたことがある。毛並みも立派だけどとにかくデカイことでも人目を引く犬だった。自分ではペットを飼えるだけの住環境にないから、野良猫を見つけてはチョッカイ出したり、他人様の飼い犬を呼び止めて種類を訊いたりのペット愛好家だ。
だから、この中国獅子舞風巨大犬にもナンパしかけて、種類はピレネーで名前はベンちゃん。名前の由来はアメリカ映画の『ベンジー』からとったとリサーチを済ませ、散歩のベンちゃんに出くわすと背中をさすっては「ベンちゃん?チャックはどこにあるの?」などとオヤジギャグかましては一人で喜んでいたのだ。
そのデカさとは反対に性格は温厚、通りがかる人のケータイ写真のモデルになり、子供が毛並みにアタマ突っ込んでもイヤがらない。とにかく、出会う人々すべてがハッピーになり笑顔で見送る駅前のアイドルがベンちゃんだった。
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そのベンちゃんとしばらく会ってないなぁと気にかけていたのだが、、、、。
「アレッ?あれはベンちゃんでないか?ちょっと違うかな?」
ベンちゃんパパが白い大きな犬を台車に乗せて歩いているのを遠目に見かけた。
なにしろ巨体だったから、老いて自分では歩行困難になったベンちゃんが台車に乗せられて散歩しているのかな?とパパに声をかけてみた。
あ〜どうも。
これはベンちゃんではないんです。ベンちゃんは3年くらい前に死んじゃったんです。老衰でした。14歳でしたから長生きしたほうですよネ。
これはゲンちゃんという名前で同じピレネー種なんです。
じつは東北の震災からしばらくして、「ピレネー種がこっちの動物管理センターに保護されているゾ」と現地の友人から電話を貰って、それで見にいったんです。
ベンちゃんを亡くしたあとは、ペットを飼うことは無いと思っていたんですが、実際に触れてしまうとダメね、情が移っちゃって。
・・・そのまま東京に連れて帰りました。
飼い主とはぐれたか、捨てられたかしたワケですから、実際の年齢は解りませんが4歳くらいじゃないかと思います。
名前のゲンちゃんですが・・・保護センターではタマちゃんと呼ばれていたんです。でもタマちゃんじゃちょっとアレだな〜と女房と相談して“元気”という名前にして、それでゲンちゃんなんです。
台車に乗せているのはネ〜、別に足が悪いワケじゃないんです。ゲンちゃんは散歩が好きで何時間でも歩くくらいなんです。それで、帰ろうとする気配を感じると地べたにヘタリこんで動こうとしないんです。だから台車に乗せてこれから家に帰るところなんですヨ。
たぶん、
ゲンちゃんは散歩しながら
誰かを探しているんじゃないかと思います。
それじゃ、また見かけたら声をかけてください。
ゲンちゃんはベンちゃんの匂いがタップリ染み着いた東京の家で可愛がられ、今はまだ短い毛並みもそのうちフサフサになり、そして、通りかかったヘンなオヤジに
「ゲンちゃ〜ん!チャックどこにあるの?」
などと背中をさすられることになるでしょう。
↓
ゲンちゃんパパのように
それぞれができる方法で
被災地と関わり合うのも
目立たないけど
立派な被災地支援となるんだなぁ。
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