スンギギの夜は更けて
ロンボク島のスンギギには半年前にも来ていたのだが今回もまたこの地に滞在していた。
スンギギは近年リゾート地として瀟洒なホテルも建ち始めているが、まだまだ開発途上という感じだ。庶民の気軽な交通手段にチドモと呼ばれる馬車があって、旅行者としてはこんな乗り物を試してみるのもまた旅の想いでともなる。
私が滞在していたときにちょうどチドモフェスティバルというようなお祭りがあって、ロンボクのチドモがすべて集合したのではないかというほど、多数のチドモがスンギギのメインストリートをパレードしていた。
このようなトラディショナルな鳴り物入りでただの馬車のパレードなのだが、これはこれで旅の想い出だ。
スンギギではビーチに近いマスコットコテージというホテルに泊まっていたのだが、かなり広い敷地内にコテージが点在している値段の割りには環境抜群のホテルだった。
ホットシャワーを浴びて熟睡していたのだが、深夜2時頃、天井裏をネズミが走るような音で目が覚めた。
「????」
天井裏の音はすぐに収まったのだが、何か胸騒ぎがする。
気になってベッドの上に起き上がってぼーっとしていたら、どうもテレビのあたりが変だ。スイッチ部分に明かりが灯っている。ロンボクのテレビなど見る気もないからスイッチを入れたことなどないのだが(だいいちテレビのある部屋には泊まったことがない)どうも妙だなと思いながらジーッとテレビを見つめていたら、スイッチ部分からトツゼン白いケムリが吹き出した。
「アッ!ヤバイ!!!」
あわててベッドから飛び出し、テレビのコードを引っこ抜いてから財布を手にもって外に飛び出した。
見回り中のガードマンを探し出し、
「オイ!!大変だ!チョッと来い!急いで急いで!!!」
警棒握り直したガードマンと部屋に入った瞬間テレビが火を噴きやがった。
それを見てガードマンは『チッ!』と叫び、慌ててトイレに入っていった。
オイオイなんでトイレなんかに行くんだよ!。
ガードマンは手桶(事後にお尻を洗うときに使う例のヤツ)に水を汲んできてテレビに数回かけ、それで火は消えたのだが部屋の中は煙で真っ白。その後まだ燻っているテレビを庭に放り投げたのだ。
庭のテレビを間にしばらくガードマンと顏を見あわせて呆然としていた。
ともかく今夜はここで休んでくれと別の空いている部屋に案内されて寝ることになったのだが、
イヤイヤイヤ・・・参ったなー!
平屋の部屋だからよかったものの、
高層ホテルだったりしたらパニックだったぜ。
そんなことを思ってニヤニヤしているあいだにいつしか眠ってしまい朝を迎えた。
フロントに行くと、「火吹きテレビ」のハナシは全員に広まっているようで、会うヤツ会うヤツが「タイヘンでしたね〜」と声をかけてきやがる。女性マネージャーに、消化のときに傷めたサルーン(腰巻き)を見せると、ちゃんと新品のサルーンを補償してくれた。
それ以来そのマスコットコテージでの私は『ファイヤーマン』と呼ばれるようになったのだ。
これもまた、旅の貴重な想い出の“スンギギの夜”だ。
というワケで、、、
ファイヤーマンだけでは寂しいので、本日は『旅の想い出』にスンギギビューティを紹介しましょう。スンギギのちょっとオシャレなレストランで昼飯を食べているときに、この女性がフラリと現れたのだ。
どういう女性なのか解らないが、ロンボク島スンギギには不似合いな感じで、「写真を撮って良いか?」と話しかけたら、キレイな英語を話す女性で、微笑みながらでさりげなくポーズをとりやがった。
そして、「写真を送ってくれる?」とE-メールアドレスを書き残してどこかに消えてしまった。
E-メールアドレスを書いたそのメモが見つからない。
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深夜の火吹きテレビとファイヤーマン
どこかから現れどこかに消えた美女
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これがロンボク島スンギギの想い出だ。
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