ウブドの夜は更けて
ウブドを覆うこのユッタリ感はどこからきているのだろうと思う。
メーン道路の狭い道路を人、バイク、車が途切れなく行き交っていて、さらに駐車中の車が渋滞を招いているが、一度として怒鳴りあう声を聞くことがことがなかった。お互いの譲り合いとも違うようだ。逆らわずに今の流れに流されて行こうという精神が身体に染み付いているような感じなのだ。
これも宗教のせいなのだろう。
とにかくウブドの村を歩いていると宗教儀式がいかに人々の生活と一体になっているのかがよくわかる。
夕暮れどき、モンキーフォレストの鬱蒼とした森の前を歩いているときのことだ。バリの民族衣装に身を包んだ青年男女がバイクで続々とやってきた。野次馬としては彼らの後を追いたくなったのだが入り口には「立ち入り禁止」の看板が立っている。それでも構わず中に入って行くと、、、お寺の境内が集合場所のようだ。青年に訊くとこのお寺でお祈りをするために集まっているのだという。
↓
そのうち長老らしき人も集まってきたので、いちおう「写真撮っていい?」とアイサツすると、「お好きなように」という感じで、異邦人の闖入者をとくに気に留める様子も無い。
↓
30分ほどで儀式が終わると「次のお寺に行くんだ」と青年たちはバイクに跨がって立ち去って行った。
なるほど、こんなふうに地域社会の宗教儀式を経験しながら少年は青年になり、そして周囲から一人前として認められていくんだな。かつての日本だって大人になるためのこんな通過儀礼はあったはずなんだが、今や「金儲け」目的の商売人主導のセレモニーだけが先走ってしまい、地域社会の一員になるための大人になる行事は薄れてしまったみたい。
モンキーフォレストの隣りのお寺でこんなことを思ったりしたのだ。
↓
a
↓
日本だったら、柵で囲って「触らないで下さい」の立て札が立っていそうな苔むした仏像がごくフツーに生活の場にある。
↓
日本だったらさしづめ狛犬というところか。
↓
a
↓
バリ島東部の町ゴア・ラワにオダラン(寺院祭礼)を経験してきた。
見学は自由だがバリ島の正装でなければならないというので、衣装は旅行社の手配で準備してもらう。
↓
a
↓
a
↓
a
↓
バリの伝統芸能といえばやはりケチャが代表的なもの。
↓
a
↓
a
↓
ケチャの最後は「火踏み男」が現れて、熾き火を踏んだり蹴飛ばしたりと活躍して観客の喝采を浴びるのだが、これはトランス状態に陥っているとの設定。だから最後には聖水を浴びることで、アッチの世界からコッチの世界へと戻ってきて正気になる演出だった。
昼の美術館巡りに加え、この様に夜ごとケチャやレゴンダンスや影絵などが村のアッチコッチで披露されているのも観光客には魅力なのだ。
「火踏み男」の蹴散らした火花の残像消えないままにモンキーフォレスト通りをブラブラしていると、道の縁石に腰掛けてタバコを喫っている若い男と目が合った。タクシードライバーかな?と思ったのだがそうではない雰囲気だ。彼の隣りに座ると、彼がタバコを出して勧めてくれ自然と話すことになったのだ。
彼はバンドのドラマーで今は休憩時間なのだという。デンパサールから来たバンドで新年の観光シーズンに何ヶ所かツアーしているらしい。「フェイバリット ドラマーは誰あるか?」などとお互い拙い英語で話しているうちに、演奏開始の時間になったらしく「聴いていくかい?」と言いながら彼は店の中に入って行った。
↓
これはこれは・・・・バリ人が演奏するモロにアメリカ南部のブルースだぜ。
途中にブルースハープの白人奏者が飛び入り出演したりのセッションにお客は大喜びだ。
そのうち、、、、、ナッ!ナンと!どこかから黒犬がフラフラッと現れたかと思うと首うなだれてブルースに聴き入ってるではないか。ウエイターもお客もそんな犬のことを気に留める気配もない。
↓

↑
この黒犬の前世は
アメリカ南部の黒人だなッ!
何の因果かここウブドに黒犬として転生し今生を生きているのだが、聴き覚えある旋律にたぐり寄せられて来てみたら、懐かしい故郷のブルースだ。今は黒犬のオレだが、かつてはミシシッピデルタでチョッとは知られたオトコだったぜ。
そんな、かつての人間時代の栄光がまざまざと蘇り、現在の不運を嘆いて首うなだれているのだ。
私のハードディスクは一瞬にしてこんなことを読み取ったゼッ!!!
黒犬さん!
来世は再び人間に転生するから
心配ないよ!
面白いなぁ、神の島バリ島のウブドはこんなふうに犬さえもココロ癒される場所なんだ。
もっと聴いていたいが、明日は4時起きしてデンパサールに行き、今回の旅の最後の土地ジョグジャカルタに飛ばなければならない。ドラマーに軽く手をあげて別れのアイサツをすると、彼は右手のスティックをクルッと回してバスタムをストーンとイッパツ決めやがった。
そんなふうにしてウブド最後の夜は過ぎていったのだ。
昨年秋、東京のガルーダでチケットを買ったときのこと。
受付嬢に「マイレージカードを作りましょうか?」と訊かれ、「またインドネシアに行くこともないだろう」といったんは断ったものの、「お客さんは、、、またバリに行くと思います」とニコヤカに言われ、「そうだな、別にお金がかかるワケでもないんだから、作るだけ作っておくか」とマイレージカードを作ったのだが、、、、、。
どうやら
またバリに
ウブドに
戻ってきそうな気分になってきたぜ。
と、いうワケで、、、、。
↓
a























最近のコメント