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2010年6月21日 (月)

『麺ジャラスK』は川田利明だった

前回紹介した映画『クレイジー・ハート』を観ながら、「この展開はミッキー・ロークの『ザ・レスラー』と同じだなぁ」と思っていた。

『クレイジー・ハート』がかつて一世を風靡したカントリー・シンガー、『ザ・レスラー』はかつてメーンイベンターを張ったプロレスラーという、両方とも「かつて・・・」がつく男の再生物語だった。ただし『ザ・レスラー』のミッキー・ロークは、娘との確執も解けてようやく再生への一歩を踏み出せたと思った矢先に、日頃の不摂生がたたりリング上で憤死してしまう結末だった。

アメリカ人というのは「人生はやり直しがきくんだ!」というテーマがホントに好きなんだ。

日曜日のことだ。

夕方6時前、世田谷通りの成城交差点を過ぎて玉堤通り方面に向っていると、ちょうどネパールレストランMt.Fishtailの隣りのビル前に10人くらいの人が並んでいる。

ここは以前博多ラーメンの店があった場所だ。その店が閉店して3ヵ月くらいになるが、新規にラーメン店が開店したようなのだ。派手なディスプレイもなく『麺ジャラスK』という奇妙な名前の控えめな看板が見てとれる。並んでいる人に訊くと1週間前に開店したばかりだそうで、6時の開店を待っているのだという。

私は『日本めんくい党』の総裁でもあるから、いちおう市場調査をしなければならないだろうと思い立ち列に並んだのだが、世田谷通りを通る車も「何の列なの?」と訝しげな顏で減速するのが解る。

列の中から店内の様子を見ると厨房の奥で開店前の準備をしているヒゲ面の男に見覚えがある。

「エッ?マサカ〜、、、、そんなワケないだろう?」

総勢30人くらいの列ができたころに開店の6時になり、店内に入りヒゲ面を正面から見て驚いた。

「川田だ!川田利明だ!」

『麺ジャラスK』の店名由来はデンジャラスKAWADAをもじったものとナットク。

スポーツ選手の店というと、本人の現役時代のパネルだとか仲間からの花輪などが景気付けに壁を飾っているものだが、前の店から居抜きの20席ほどの店内にはそれらの派手な飾りは一切無し。川田利明のことを知らないお客だったら、厨房で汗だくになって働いているあのヒゲ面が、有名なプロレスラーだったとは想像つかないだろう。

プロレスに縁のない人のために若干説明すると、川田利明はジャイアント馬場率いる全日本プロレスを経て、高校の先輩三沢光晴の『ノア』に参加。彼のファイトはプロレスではありがちな派手なパフォーマンスを拒否し、肉と肉がゴツゴツとぶつかりあう、正に肉弾戦の音が聞こえるような激しさだった。それほど肉体を酷使し妥協しないファイトは多くのファンを得ていたプロレスラーなのだ。とにかく真面目な正確がファイトに表れていたと思う。

その川田利明が目の前にいる。

川田利明のファンと思える女性グループが「写真撮っていいですか?」とコトワリを入れ、厨房の川田にケータイを向けてもイヤな顔せず、「お好きにどうぞ」という感じで応じている。私も写真を撮りたかったが、そ ういう日に限って手ブラだったのが残念。

それで、

私は「醤油K麺750円」というラーメンを食したのだが、一般的に醤油ラーメンといわれる醤油をもっと濃くした味だが、濃い割りには意外とアッサリしている。私にとっての初体験の味は、かなりの研究によって作りだした味だということは理解できた。

外にはまだ行列ができている様子なので、次のお客に席を譲らなければと早々に食い終えた帰り際、レジの女性に「いつ引退したの?」と小声で訊くと、その女性は

「エッ?川田ですか?まだ引退してませんヨ」

「アッ!そうなの!

プロレスもやって、ラーメン屋もやってというワケ?」

私は子供のころからのプロレスファンで、力道山×デストロイヤーの試合だってリアルタイムで見ている世代だが、馬場・猪木後のプロレス界については興味が薄れて東京スポーツを読むこともなかった。しかし、プロレス団体の乱立、総合格闘技の台頭などプロレス弱体のナガレは知っていた。さらに三沢さんの事件でプロレス界も窮地にあるだろうことは想像していたが、川田利明の消息について思いをめぐらすこともなかったのだが、その川田利明の店に偶然に入って、川田利明の作ったラーメンを喰ったワケだ。

たまたま『クレイジー・ハート』の映画を観て、ミッキー・ローク演じる『ザ・レスラー』のことを思い出したものだから、満身創痍でプロレスを引退した川田利明が、ラーメン屋に第二の人生を賭けてると勝手にストーリーを描いたのだが、川田利明はまだまだ現役プロレスラーだったのだ。

川田さん失礼しました。

ラーメン美味しかったですよ。

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店を出ると
まだ20人ほどの行列ができていた。
この行列が
プロレスラーのラーメン屋という物珍しさだけでなく
美味しいラーメンの店として
永遠に続くことを祈りたい。
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間がワルイことに
今回は麺ジャラスKのラーメン画像はアップできないが
日本めんくい党総裁としては
次回はカメラを持ってリターンマッチだ。
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