『引き寄せの法則』なのか『引き寄せられの法則』なのか、それともただの偶然なのか解らないが、ともかく不思議なオームとの出会いがあったバンコックでした。
ここで、ハナシをもう一度バンコックのクイーンズ・ガーデン・リゾートホテルに戻しましょう。
前回でも書いたとおり、このホテルは空港に近いという立地で、車で15分ほどだから深夜あるいは早朝便のお客の利用が多い。
ホテル前で空を見上げていると頭上を飛行機がこんなふうにひっきりなしに行き来しているから騒音が多いのが難だ。
早朝のホテル前の運河は流れ着いた川藻に覆われ、それを除去するためのボートが毎日出動する。
川藻除去の作業が終わるころ、運河に架かる橋の上は仕事にでかける人たちがこんなふうにバイクタクシーで通りかかり、
母子も散歩に顔を見せ、
女学生はピースサインで愛嬌をふりまく。
こんなクイーンズ・ガーデン・リゾートホテルでちょっとミョーなことがあったので、そのことを書いておきたい。
ホテルにチェックインをしたあと、一息いれて街に行くつもりでホテルを出た瞬間にシークと鉢合わせしてしまった。
「オイオイオイ・・・・現れたぜッ・・・シークが」
何とも絶妙のタイミングでシークとの遭遇だ。
例によって、グル・ナーナクだのアムリッツアだのゴールデンテンプルだのと並べてコミュニケーションを計る。“我がグル”の名前や故郷パンジャブなどが日本人の口からいきなり出れば、いかなるシークだって嬉しくないはずはありません。その上、この日本人「オレはサティア・サイババの信者だ。サイババ知ってるだろッ?」と言う始末。
「もちろんサイババは知ってる。ボクはラクシュミの信者だ」などと言うと、財布からラクシュミの絵を持ち出しやがった。
「ところで、オマエはこんな所で何をしているアルか?シークのお寺この近くアルか?」
私の問いにシークはイロイロ説明してくれるのだが、私の英語力では言ってる意味がどうも理解できない。ただ、占いをやっているらしいことだけは解った。そこで、カラカイ半分に「オレを占ってくれよ」というと、彼は私の顔をジーッと見つめ、
「オマエの前世は人間で・・・来世も人間に生まれる」
などと抜かしやがる。
シークとラクシュミの組み合わせもうさん臭いと思ったが、「前世だの来世だのを持ち出す占い師もアブナいアブナい」とハラの中で嗤っていたワケよ。
そうしたら、
「オマエのラッキーナンバーは何だ?」
と訊くから、
「セブンだなぁ、ラッキー・セブン!と言うだろ」
アタマの中にイメージした数字をテキトーに答えると、シークはしばらく目を瞑ったあとポケットから手帳を取り出して何やら書いている。
そして、シークは手帳のページを破り折り畳んで私の右手に掴ませてくれたワケだ。
私はその紙を右手に握ったまま若かりし日にダージリンからカニヤクマーリまで旅したことなどを話して日印友好に寄与すると、シークは「オマエの年齢は何歳だ?」と質問してきた。
正直に満年齢を答えると「さっきの紙を見ろ」と言われ、右手の紙切れを開くと、ソッ!その紙には、さっき私がラッキーナンバーとして答えた『7』と私の年齢が書かれていたのだ。
『7』については私が実際に口に出して答えた数字だから、その紙に書かれているのは不思議ではない、しかし、年齢については私が答えたときにその紙はすでに私の右手の中にあったワケだ。
「なぜッ?!」
私は外国に行って年齢を訊かれれば、ずいぶんサバを読んで「40歳!」と答えても誰からも不思議に思われない。たぶん大方の外人にとって日本人の年齢など判断できないはずだ。ましてやシークの青年が日本人の私を外観から実年齢をピタリと言い当てられるとは思えないのだ。
「なぜッ?!なぜオレの年齢が解った?!」
運河に架かる橋の上でそんなハナシをしていると、ホテルの従業員が二人現れてシークを罵った上に追い払ってしまった。どうやら橋の上での私とシークのヤリトリをホテル側から遠目に見ていて、お客である私が何か面倒なことに巻き込まれていると思ったらしい。
シークは寂しそうな笑顔を浮かべながら消えてしまった。シークとてタイでは外人だから騒ぎを起こしたくなかったのだろう。
「シークの青年に悪いことをしたなぁ、、、
ノー・プロブレムだからとホテルのヤツらに言えば良かった」
もっとハナシをしたいと思い彼を捜したがどこかに消えてしまった。橋の上からどっち方面に消えたのかもまったく憶えていないのだ。
「なぜオレの年齢が解ったのかなぁ、
たんなる出まかせが当たっただけだったのかなぁ」
それにしても、
「なぜ?
ラクシュミの絵を持ったシークが、
観光エリアでもないあんな場所にいたんだろうか?」
「意味があるような、意味がないような」そんな釈然としない思いを抱きながら、旅は一挙にエンディングに近づいて、早朝5時発の空港行きシャトルバスでクイーンズ・ガーデン・リゾートホテルを離れることになる。
バンコック発成田行きUA機は満席。このUA機は昨年ブラジルへ行ったときの飛行機遅延に対してのお詫びバウチャーを利用したものだ。昨年夏くらいには「今年はバンコックへ行こう!」と早めに予約したもので、こんなに満席になるんだから早めに押さえておいて良かった。
東京は寒いからと冬支度で飛行機に乗り込めば、隣席の白人青年は半ズボンにタンクットップ。パタヤビーチからそのまま駆けつけたような格好だ。
「東京は雪が降ってるかもしれないよ」
そう言うと、彼は「平気だよ、ロスアンジェルスに行くんだから」と表情も変えずに答え、即機内の薄い毛布にくるまって寝こみ、成田に着陸直前までコトリとも動かなかった。成田に到着すると半ズボンタンクトップのそのまんまに紙袋ぶら下げ、ビーチサンダルをパタパタいわせてトランジットゲートへと向っていきやがった。
私は用心して厚手のコートのフードを被り直し南国から北国モードへと変換したのだが、やっぱりああいう白人連中と日本人では身体の仕組みが違うのだろう。
そして、
あっけなく旅は終わり、
またいつもの日常に戻るべく
ブーメランのようにささやかな巣へたどりついたワケだ。
郵便ポストの中の宣伝チラシやら年賀状類を仕分けしながら部屋のドアを開けてギョッとした。
何ジャッ?
コリャッ!
何と・・・・台所に鍋釜食器類が散乱しているではないか!!!

何ジャッ?
コリャッ!
冷静になって状況を見回すと、どうやら吊り戸棚が落ちたためだということが解った。しかし、男の手でガチガチに留めて何年も問題なかった戸棚が、何で私の留守中に崩れ落ちなけりゃならんのじゃ?。
ガネーシャの小僧が・・・
イタズラしに来やがったナッ!.
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アッチコッチで遭遇したオームやガネーシャを
事実は事実として捉えるだけで
それ以上
ことさらに特別な意味を持たせるのは
危険だと
理解しているが
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ナニモノかが信号を送ってきてる。
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そう思ったほうが
ハナシはオモシロそうだゼッ。
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バックパックを解くのもそこそこに
散らばった食器類を片付けながらそんなことを思った。a
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