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2008年2月14日 (木)

古都フエにて

1963年6月11日、サイゴンのアメリカ大使館前で一人のベトナム僧侶がガソリンをかぶり焼身自殺を遂げた。当時の南ベトナムのゴ・ディンジェム政権による仏教徒への迫害に抗議したものだった。

強靭な精神力によるものか、それとも人智の計り知れないナニモノかの意図があったのか、全身を炎に包まれてもなお結跏趺坐を崩さず天に還ったその姿は全世界に衝撃を与えた。

RAGE AGAINST THE MACHINE
(レイジ・アゲインスト・ザ・マシーン)
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『一人の坊さんがバーベキューになっただけでしょ!』

この焼身自殺に対して、当時のゴ・ディンジェム大統領の義妹マダム・ニューの放ったこの言葉は、民衆の怒りを買い反政府感情が一挙に高まり、ベトナム戦争をより複雑にしていくことになった。

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焼身自殺した僧が、ベトナム中部の町フエのティエンムー寺の住職で、そのお寺の境内には、お坊さんがサイゴンへ行ったときに乗ったオースチンがそのままの形で保存されています。お坊さんがティック・クァン・ドックという名前だったことも初めて知った。

特にそのお坊さんのお寺を見に行ったことでもなく、たまたまフエ市内観光のバスに乗ったところ、そのお寺がコースに組み込まれていたわけです。

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そして壁にはこの写真。

車の奥の壁には「レイジ・アゲインスト・ザ・マシーン」のレコードジャケットで見たことのあるショッキングな写真も飾ってあります。

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ガイドブックによれば、このお寺は1601年に建立された由緒あるお寺だとか。なるほど、本堂はその名にたがわず豪華な作りで、折しも見習い僧のお勤め中。

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日本のように丸坊主ではなく、前頭部分に髪の毛を残すのがベトナム式らしい。

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もしかするとベトナムの仏教徒は一時期を出家する義務があるのだろうか?

お坊さんといっても遊びたい盛りの子どもだから、無粋な観光客が気になってソワソワしたり、肘で隣りを突っついて先輩僧に睨まれたりする場面もあります。

マダム・ニューの暴言の背景には彼女がキリスト教徒だったこと、クーデターにより義兄の大統領と夫が殺害時もうまく国外脱出したものの、受け入れ国がなく彷徨ったというような当時の記憶が断片的によみがえってきます。最終的にどこの国に落ち着いたのか?そして、どこで死んだのか?は分からない。もしかすると、現在でもしたたかに生きているのかも知れません。

こんなことを思いながらティエンムー寺を出れば、45年前、意を決してこのお寺からサイゴンに向ったお坊さんがいたことなど、「ワシら関係ないもんね〜」という顔の肉まん売りのオヤジさん、フォーン川をバックに待ち構えるフエの夕方でした。

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