渋谷センター街のオーム
このごろはクレジット会社と提携したポイントカードを発行しているお店が増えて、レタス1個週刊誌1冊の買い物だけでも、レジで「当店のカードはお持ちです か?」と催促される。これが案外煩わしい。「それってさぁ、客に必ず訊くように会社から言われてんの?サービスを受けたいと思うヒトが提示すればいいんじゃない の?」と、小言好兵衛なみにひとこと言ったりする。
こんなところにもトシを感じる晩秋のたそがれです。
兄夫婦が上京するというので渋谷で待ち合わせて話を聞いた。帰省したのが姪ッ子の結婚式のときだから5年ぶりに会うことになる。「異土の乞食になるとても 帰るところにあるまじや」の心持ちで、実家のことには何も構わずこれまできたけれど、母親が住んでいる。。
ときおり電話で話すだけの88歳になる母は声もしっかりしたもので、たぶん100歳以上は大丈夫だろうというのが私の予想。そんな“たらちねの母”へのプレゼントとして、派手目のセーターを選び大げさなリボンをつけたものを兄に託す。
兄夫婦の上京の目的は、東京見物もかねて、東京に住む息子に見合い写真を持ってきてのだという。これまでにも、親類縁者から持ち込まれた見合い写真を何回か郵送したことがあったらしいけれどラチがあかず、今回は親が直接手渡してハナシをしようという算段。何とか呼び戻して後を継がせて孫も抱きたいというのが親としてのノゾミ。
「付き合っているヒトがいるから」と見合い話に関心示さない息子に、「それならそのヒトを連れて戻ってこい」という親のハナシにも気乗り薄だったらしい。息子のことは心配してもどうしようもないな〜と、もはやアキラメ顔。
メシを食べようということになって、連れていったのがセンター街のインドレストラン。普段は安めのカレー屋ばっかりだけど今回はちょっと奮発。兄夫婦は田舎にいては味わえない本場のインドカレーを珍しがって喜んでくれた様子。
食事のあとノートパソコンを開いてチベットの写真を見せながらダライ・ラマの話などをしていると、インド人マネージャー氏が興味津々の様子で話に加わってきた。私がインド好き(?)だと気がついたマネージャー氏は「マトゥラへ行ったことがあるか?」と訊いてくる。
「マトゥラ?それはクリシュナの生まれた・・・ブリンダヴァン?」と訊き返せば、「ブリンダヴァンまで知っているのか!、マトゥラには素晴らしいお寺がある、行ったことがないのなら今度インドへ行った時には絶対に行くべきだ!」と強力にプッシュしてくる。そこでマネージャー氏にキーボード打たせてアクセスしたのがマトゥラ関係のこのサイト。
このマネージャー氏、変な日本人に出会ったと大喜びで、「ラッシー飲むか?チャイはどうだ?ワインもあるぞ」。そして、レジ下の机の中から1枚の写真を持ってきて「この人を知ってるか?」と訊いてきやがる。
始まったぞ、始まったぞ、『引き寄せの法則』が。

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「もちろん知ってるさ
“シルジのサイババ”だろッ!
だって
ボクはサティア・サイババの
ディボーティだよ!!!」
サティア・サイババのファンを広言してオモシロがっているだけで、決してディボーティ(信者)だとは思っていない私だけど、ここはディボーティのフリをしてハナシを盛り上げよう。
ところで、、、、。
私はカバンから1枚の写真を取り出してマネージャー氏に見せた。
「このオームマークの周りのヒンディー語はどういう意味なのか教えて、、、」

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「これはヒンディー語ではありません
サンスクリット語で
読み方はこうです・・・」
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居住まい正したマネージャーは読み上げやがった。
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OM BHOOR BHUVASSUVAH
TAT SAVITURVARENYAM
BHARGO DEVASYA DHEEMAHI
DHIYO YO NAH PRACHODAYAAT
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他に客がいないことをいいことに盛り上がるインド人マネージャー氏と私とのセッションの内容は、門外漢の兄夫婦にもおおよそ想像がついた様子。
20数年前夜逃げするように消えた弟が、どんな暮らしをしてきたのか全く知らないけれど、その弟の関心事の一端に初めて気づいたはずです。
渋谷センター街の人間動物園並珍種の雑踏に揉まれながら、息子のことを思った兄の漏らした言葉。
こういった生活に慣れてしまえば
田舎の生活に戻れと言ってもいまさら無理だろうな〜
兄にとっては、昨夜お見合い話のために会った息子のことといい、ワケのわからないカミサマ話を喜んでいる目の前の弟といい、充分に刺激的な東京滞在であったことは確かです。
「シルジ・サイババ」についても、「ガヤトリマントラ」についてもあえて説明しないから、「関心あるヒトは自分で調べて」と、放っておいて、一応ガヤトリマントラの響きだけは感じてもらいましょうか。
音源は(プロデュース)ジョージ・ハリスン、(監修)ラビ・シャンカールになる『CHANTS OF INDIA』というCDからのパクリです。
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心配ないって!
人間てえのは
最後は
収まるところに収まるようにできているんだから。
a
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