チック・コリアを聴きに新百合ケ丘へ
まるで盛夏といってもよさそうな残暑の秋。暑苦しさのために寝不足だったり、明け方の冷え込みに風邪をひいたりと、周囲には体調を崩したひとがゴロゴロ。いまごろこんな暑さなんだからやはり地球環境はおかしくなったいるんだろうと思ってしまいます。
この夏、チック・コリアの『リターン・トゥ・フォーエヴァー』のカモメジャケットをあしらったTシャツを着た人を2回見かけた。
素人ッぽい画像処理から最初に見たときはファンの制作になる一点ものだと思ったら、2回目に見たのももまったく同じ色あせたデザインだったから、一般に市販されているものなんでしょう。私たちの世代にとっては懐かしいレコードジャケットです。
この『リターン・トゥ・フォー・エヴァー/チック・コリア』というLPレコードは、1970年初めジャズ喫茶での人気No.1だった時期があります。リクエストされるのはいつも『♪SOMETIME AGO〜LA FIESTA 』が収録されたB面で、この演奏が終わると客がさ〜と帰ると言われたほどの超人気盤。
ジャズファンのみならずポップスファンまでもジャズ喫茶まで呼び寄せたのが、この『リターン・トゥ・フォー・エヴァー』B面現象で、あまりのリクエストの多さに、たまりかねた店側は2時間に1回だけリクエストに応じるというように制限を設けたなどと話題にもなりました。
ポピュラーな人気を集めた反面、日本のジャズファンからは「金儲け主義だ!!!」とソッポを向かれることにもなります。しかし、その後の音楽の流れを見ても、クロス・オーバーとかヒュージョンの決定版がこの『リターン・トゥ・フォー・エヴァー』で、このレコードによって、ジャンル分けにこだわらず音楽を楽しむようなファンが開拓されたことは間違いありません。
チック・コリアのエレキピアノはどこまでもポジティブで、ベースの概念を変えたスタン・クラークの驚異的なテクニックとアイアート・モレイラの繰り出すリズムはワクワクする躍動感を与えてくれます。それに安定感のあるジョー・ファレルの管と透明感あるフローラ・プリムのヴォーカルは一点の曇りない世界を見せてくれます。また、発足間もないレコード会社ECMの乾いたサウンド処理も含めてたしかに今聴いてもまったく古めかしさを感じない超一級品のアルバムです。
街で見かけたTシャツからそんなことを思ったのですが、そのチック・コリアがどういうイキサツからか一回限りのピアノ・ソロコンサートを行うといいます。しかも主催は昭和音楽大学というのですから、こりゃぁ見逃すテはありません。
2007.09.21(金)
チック・コリア ピアノ・ソロコンサートを聴きに新百合ケ丘昭和音楽大学へ。

.
teatro del Giglio SHOWA
Special Concert
Chick Corea
plays Solo
.
チック・コリアが2007年秋お届けする
一度だけのソロ・コンサート。
ここでしか聴けない
プレミアムなひととき!!
この会場は初めてだけれど、多摩丘陵小田急線新百合ケ丘の昭和音楽大学併設のホールでキャパシティ1400というところか。会場内の公演ポスターを見るとほとんどクラシック系のプログラムで、ジャズ関係のコンサートは珍しそうで、ほぼ満席の会場は穏やかで落ち着いた雰囲気が漂いとてもよい感じ。このあたりチックの個性が引き寄せたものなんでしょうか。
そんな中、チック・コリアがズタ袋下げて全身から陽気さを発散させながら登場。ユル〜イトークで会場とのコミュニケーションをとったあとに始まったのは、特にテーマのないフリー・インプロビゼーション。その後クラシック曲や、楽譜を見ながら小品集を弾いたりしたあたり、もしかしたら音楽大学の主催ということで、学生席を占める聴衆の学生達を意識したプログラムだったのかな。
ビル・エヴァンスやバド・パウエルの曲も演奏したけれど、あまりジャズジャズしない、全体に自宅でピアノに向っているような気楽さが感じられます。このあたり紋付羽織姿のクラシック系ピアニストではこうはいきません。そして最後には当然観客の手拍子を誘導しての『♪SPAIN』でオヒラキということになります。
いつも世の中への不満をこれみよがしにブチマケルような荒々しい音楽ばっかり聴いているから、最初のうちは大人しすぎて刺激不足と思ったけれど、だんだん引き込まれていって、休憩なしの2時間がアッという間に終わってしまいました。
チック・コリアというピアニストは純ジャズを目指していたかと思うと、フリーに走ったり、エレクトリック路線と平行してクラシックにも色目を使ったりと、そのテクニックとキャリアの割には評価が軽いピアニストのような気がします。“地下室”でストイックに“ジャズ道”を追求するミュージッシャンを支持したがる日本のファンの独特な気質からきているのかもしれませんが、こういうさりげなさ自由さがチック・コリアの魅力で「肩の力を抜いて音楽を楽しんでくれればウレシイな」と語りかけてくれてるようなホノボノとしたコンサートでした。
この章を作りながらBGMにしていた音楽。

Chick Core
PIANO IMPROVISATIONS VOL.1
a

Stan Getz
CAPTAIN MARVEL
a

Chick Corea
Remembering Bud Powell
a

Chick Corea
Trondheim Jazz Orchestra
.
.
| 固定リンク

コメント