ラビの追いかけ渋谷編
2007.08.28(火)
中山ラビを聴きに渋谷クロコダイルへ。
その前にディスクユニオンへちょっと寄り道。
そこで見つけたのがこのCD。

.
COUNTRY DREAM
KIYOSHI SUGIMOTO QUARTETT
.
Recorded Dec.7,1969
この杉本喜代志というギタリストも渋谷オスカーでよく聴いた人です。1960年代のハナシですけどね。日野皓正グループに在籍していたこともあった人気ギタリストで、このアルバムのバックは全員当時の日野バンドのメンバーだったと思います。杉本喜代志の純ジャズのリーダーアルバムとしては他に何があったか思い出せない。
混沌の60年代を反映してか、ジャズ界にもフリージャズの嵐が吹き荒れて、その挙げ句に演る方も聴く方も皆疲れてしまって、着地点を見つけられない迷走時代。その反動のようにシンプルなメロディが、現代でいうところの“癒し系音楽”として流行した時期がありました。杉本喜代志のこのリーダーアルバムもそんな流れの延長線にあって、タイトルの『カントリー・ドリーム』は正にタイトルどおりの牧歌調メロディラインをもつ曲でした。今になって振り返ればあの頃は皆ムリしてたのかもしれません。
その70年代初期の私の愛聴盤がCDで再発されていたんだなぁ。
ムカシ、ムカシ、、、所有していた自慢のレコードコレクションも、生活のために処分してしまった履歴をもつ私ですが、かつての愛聴レコードがこんなふうにCDとして復刻されているのを見つけると、ついつい買ってしまいます。
失ってしまったかつての思い出を呼び戻そうとしてるような気がします。
ムカシは、フォークの時代があったり、ロックの時代があったり、ジャズの時代があったりと偏った音楽一辺倒だったときもあったけれど、今ではジャンルにこだわらずあらゆる音楽に無節操に首を突っ込む日々となりました。
その方が自由で楽しいということにやっと気がつきました。
ということで、本日のネタはフォークということになります。
フォークシンガー、翻訳家、音楽評論家というマルチな才能で知られる中川五郎プロデュースによる2夜連続の企画がこれ(私が行ったのは中山ラビさんの出演する2夜目)。

.
福なる
音楽士たちの系譜
〜歌の果樹園〜
フォーク界の重鎖(ママ)、中川五郎とその仲間たちが集う、
渋谷クアトロで繰り広げられる真夏の二日間。
言葉を大切に歌い続けるアーティスト達、
世代を超えた今宵限りの豪華競演です。
ユニークな活動を続けるミュージシャンを同一ステージに上げることで、どんな化学反応を起こすか?起こさないか?という企画の、中川五郎のおメガネにかなったのは7グループ。それぞれ、メジャーとは言えない位置づけながら「好きな人にとっては病的にスキ!!!」という一癖も二癖もありそうな個性的メンメンのそろい踏み。
ニール・ヤングの『LIKE A HURRICANE』が突如鳴り響いたかと思ったら、トップに登場したのはマーガレット・ズロースというギター、ベース、ドラムスの3人組。こういうタイプの青年バンドって、新宿駅南口とか代々木公園あたりにゴロゴロいるなぁ、などと思いながら右から左にスルー。
2番目は謡象というグループ。このバンドでひとつビックリしたのは、チェロ奏者が楽器をギター状に抱え、手に持った電気グラインダーを楽器のエンドピンに当てて火花を飛散させるパフォーマンス。この芸当、もしかすると、どこかのバンドのコピーだったのかも知れないけれど、それまでオツに澄まし顔だったバンドの豹変ぶりには笑いました。ちなみに、謡象と書いて「うたかた」と読ませ、タイコは頭脳警察のトシだったということからも、このバンドのクセモノぶりが理解できようというものです。
3番目はピアノ弾き語りの鈴木亜紀嬢。古今東西普遍的テーマのオトコとオンナのスッタモンダ関係に、出身地の焼津ドメスティックネタをからませ、初期矢野顕子を小型にしたようなピアノで熱演。
4番目はギター弾き語りの田辺マモル。この人もまた古今東西普遍的体験ネタ。途中、停電というアクシデント(大雨が原因だったらしい)に見舞われながらも動ぜず、フテブテしく「ヤルときはヤルゾッ!」とばかりに自己主張したのはお見事。
5番目が、やっとこさ中山ラビがピアノの高橋誠一を伴って登場。
それまでの出演者とは格の違いというところをみせて、6曲歌ったのかな。
1000人集まれば1000人の体験があり、その中にはホレたハレたのストーリーもあります。だからといって1000人が私小説作家になれるワケで もなく、フォークシンガーになれるワケでもありません。しかし、類いまれな表現者の作品に触れて、未だに昇華しきれずにいる己が貧しい失敗を慰撫することはできるワケです。
6番目に登場は金子マリ。それまでの出演者の“疑似恋愛ソング”に苦笑するかのように、名人・森園勝敏のブルーススピリッツに満ちた鋭いギターと、北 京一(私の知らなかったヴォーカル)を伴っての「オトナのショータイム」という趣きのパフォーマンス。
そして最後の7番目に登場したのは日本フォーク界の巨人早川義夫。自らのピアノとヴァイオリンのHONJIによるコラボレーション。早川義夫は前日まで北陸ツアーをしていたらしい。紆余曲折を経ながらもこうして復活し、歌に賭ける並々ならぬ情熱を見せつけられて圧倒的ステージでした。それにしてもバイオリンのHONJIは日本のスカーレット・リヴェラと言っても良い貴重な存在です。
現代では自己表現の手段として誰でもが簡単にCDやDVDを制作できる時代です(売れる売れないはともかく)。しかし、60年代/70年代のフォークシンガーが、自分の主張をこめた1枚のレコードを世に出すのはそう簡単ではなかったことを体験しています。これら先駆者がこり固まった社会システムに抵抗し味わった屈辱、あるいは勝ち取った喜びの延長線上に現代の日本ポップス隆盛があり、彼らフォークシンガーの蒔いた種が近年になって実を結んだと断言してしまいましょう。
ということで、、、、、。
当夜のコンサートのスタートが午後6時45分。7組のグループが出演するワケだから、1グループ25分の持ち時間だったらしい。しかし、セッティングやらナニやカヤで押せ押せになるのは当然のこと。トリの早川義夫のステージが終わった時には11時を過ぎ。それからおヤクソクのアンコールに応えるため、ナビゲーター役の中川五郎が出演者全員をステージに呼び込み『グッド・ナイト・アイリーン』を歌い始めたのは11時20分ころ。聴く方としてはいい加減疲れたというところ。
このあたり、ウイークデイのコンサートとしては進行に配慮が足りません。
私としてはナンでもカンでも詰め込まれるよりは、1-4の若手ミュージシャン(もしかすると実年齢は若手ではないのかもしれないけれど)はパスして、5中山ラビ、6金子マリ、7早川義夫の3人衆中心で、それぞれの歌をもっとジックリ聴きたかったという不満の残ったコンサートでした。
彼らの歌は、20代時の旧レパートリーといえども、50代になった今でなければ表現できない世界を展開しているのです。これは「復活」だとか「懐古」を蹴飛ばし、現代を生きる我々へのメッセージなのです。
a








最近のコメント