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2007年7月27日 (金)

日野皓正presents "Jazz for Kids"

 2007.07.22(日)

日野皓正 presents "JAZZ FOR KIDS" を聴きに三軒茶屋へ。

JAZZ FOR KIDSというのは、東京世田谷区の教育委員会に「子どもの才能の芽を伸ばす体験学習」というプロジェクトがあって、公募した区内在住の中学生を対象にジャズバンドを編成し、ジャズの楽しさを知ってもらおう、もちろんジャズだけに限らず、共同で物事を遂行する素晴らしさを体験して視野を広げて欲しいという、お役所にしてはイキな企画。

ここで、なぜ日本ジャズ界の巨匠日野皓正さんが出てくるかというと、バンドの指導を担ったのがプロのジャズマンたちで、日野さんは校長先生という役割とのこと。なにしろ、ブラスバンドなどである程度の技術を持っている子どももいれば、楽器は初体験という子どももいるという混成チームのことゆえ、指導の苦労は並大抵のことではなかったらしい。

このプロジェクトはこれまで2年2期の実績があり、今年は3年目の3期生に当たり、今年3月からスタートして、これまでの20回の特訓の成果を区民に披露しようというのが今回のコンサートになります。

名付けてDream Jazz Band

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オープニングを飾ったのが日野皓正クインテット+Dream Jazz Bandの講師陣。

日野5→日野皓正(Tp)多田誠治(As)石井彰(P)金澤英明(B)力石誠(Ds)

講師→守谷美由貴(As)片岡雄三(Tb)小山道之(P)出口誠(P)工藤精(B)

<セットリスト>

1. Wisper Not

2.Blue Bossa

3.Fly Little Bird Fly

数年前、ヒュージョン指向の日野グループを聴いたことがあったけれど、それからみると今回はオーソドックスな編成で、ハードバップ回帰とでもいえる演奏曲だったのが意外。最近の日野さんの演奏はこんな傾向なのでしょうか。

久しぶりに日野さんの名人芸を聴いた後は、10人ほどの子どもたちがステージに呼び込まれての演奏。彼らはJAZZ FOR KIDSのOBにあたります。中学を卒業して今では高校生になった2期生にも発表のチャンスを与えようという温かい配慮です。

4.Soft Winds

さて、休憩も終わって、いよいよ、主役のJazz For Kidsの登場です。

ステージに居並ぶのは、サックス、トロンボーン、トランペット各10人とリズム隊10人の、総勢40人ほどの大ジャズバンド。1曲目は校長・日野皓正の指揮からスタートです。

5.Take The A Train

日野さんの指揮の後は、それぞれ講師の先生たちの指揮でプログラムは進行します。

6.April In Paris

7.Moanin'

8.In The Mood

9.St,Louis Blues

10.American Patrol

11.Satin Doll

12.C-Jam Blues

13.A Night In Tunisia

14.Little Darlin

15.Caravan

このように、デューク・エリントン、カウント・ベイシー、グレン・ミラー・ナンバーのオンパレード。たった20回の練習だけで、これだけのレパートリーをこなせたことにビックリ。

日野校長はマイクスタンドの位置を直したり、コンガの少年に寄っていきさりげなく叩き方を修正してやったりのフォロー。『♪チュニジアの夜』など日野校長が吹くトランペットのフレーズにメンバーが楽器で挑戦して、達者な子もいれば、まだまだこれからという子もいて、最後には日野校長のド派手なカデンツァで終わるという演出。

ベースの金澤英明もまた最初から最後までベース位置に貼り付いてプレイヤーが交代するごとにセッティングをヘルプしたりチューニングしたりの入れ込み様。このバンドはリズム隊が弱点のようで、たぶん「キミはこの曲を担当、アナタはこの曲を」というように、1曲ごとにそれぞれプレイヤーを割り振ってのピンポイント練習作戦をとったのでしょう。

16.It's There

アンコールは40人のメンバーにOBバンド日野5講師陣を加えて総勢60人で、日野皓正の弟日野元彦のオリジナル曲を演奏。

元彦さんはドラマーとして兄を支え、1999年に膵臓がんで53歳の命を終えたジャズドラマー。『It's There』というのは『それはそこにある』と訳すのでしょうか。日野兄弟の兄弟愛は広く知られていて、元彦さんの短い生涯を思うとこのタイトルも特別な響きをもって伝わってきます。

日野さんも弟へのそんな思いがよぎったのでしょうか、ソロの途中黙想するかのような間をみせ、やがて目覚めては吹きまくり、それに応えて総勢60人のバンドもホールを揺るがすかのようなテーマのフレーズを吠え続けての印象的なエンディング。

日野クインテットは、前日の地方コンサートを終え、早朝米子を出発して羽田から会場の世田谷パブリックシアター直行という強行スケジュールだったらしい。満足なリハーサルもとれないまま臨んだ本番だそうだけど、アマチュアの子どもたちをコントロールし見事にまとめたプロの技を見せつけてくれました。

それにしても、たった20回の練習でこれほどの成果を見せた子どもたちは驚異そのもの。子どもたちはこのバンドで生涯忘れることのない体験をして、確かな自信を掴んだことでしょう。もちろん、そんな子どもたちの潜在能力を上手に引き出した講師陣にも大拍手です。

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