東京アンダーナイト/山本信太郎
ホテル・ニュージャパン火災事件は1982年(昭和57年)ですから、もうずいぶん昔のことになってしまい、リアルタイムであの火災を知ってる世代も少なくなりつつあるようです。ですから、格式あるホテルニュージャパンが、乗っ取り王横井秀樹の手に渡ってから利益第一主義に走り防災設備がおろそかになったという、事件の背景についての記事を記憶している人も、殆どいなくなってるかも知れません。
そのホテル・ニュージャパンの同じ敷地内の地下にあったのが、今で言う“セレブ”な人たちの“大人の社交場”として知られたニューラテンクォーターだったそうです。内外の一流エンターテイナーの豪華ショーが呼び物だったというこのニューラテンクォーターの元オーナーが、開店(1959年)から閉店(1989年)までの経緯を記録したのがこの『東京アンダーナイト/山本信太郎/廣済堂出版』。

東京アンダーナイト
山本信太郎
廣済堂出版
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ニューラテンクォーターと言えば、私がすぐに浮かぶのが「力道山刺される!」の事件。事件の目撃者だった著者は「40年の沈黙を破り、初めて明かされる」として犯人との対談つきで事件を振り返っています。

私が特に興味深く読んだのは世界のトップスター、例えば、ミルス・ブラザース、ナット・キング・コール、アール・グラント、パティ・ペイジ、パット・ブーン、フォー・フレッシュメン・・・・を、キャパ300人のステージに上げてラスべガス並の豪華ショーを実現させたその手腕。
読者にはそれほど関心を呼ぶことはないのかな?というもどかしさを感じながらも、これらの名前を書いている私にとっては胸をドキドキさせながらキーボード叩くほどの大大大スターなのです。
今でこそアメリカの音楽情報はリアルタイムで入手でき、一流どころが日本の小さなクラブに出演することも珍しくないけれど、1ドル=360円の時代背景を考えると驚きでしかありません。
魑魅魍魎が蠢いたであろう戦後の水商売に生きた人間としては、口に出せないことがヤマほどあって、この本に書かれなかったことのほうにこそ「驚愕の真実」がありそうだと想像するけれど、それでもナイトクラブ経営を語ることで、戦後から高度経済成長へと突き進む日本の姿が鮮やかにビジュアル化されていく思いでした。
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