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2007年1月25日 (木)

ワルザザードの夜は更ける

「ピレネーを越えるとアフリカだ」という言葉があるけれど、ピレネー山脈を越え、地中海を越え、アフリカ大陸に辿り着いても、まだまだ越えなければならないのは、アトラス山脈の万年雪と行く手を塞ぐサハラ砂漠の乾燥地帯。ここでやっとブラックアフリカへと辿り着くことになるのだ。

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午前中マラケシュ市街を少し観光して、バスはいよいよアトラス山脈を越えて、サハラ砂漠の入り口ワルザザードへと向かう。

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日本なら、頑丈なガードレール張り巡らされて、「警笛鳴らせ」「徐行しろ」「対向車注意」の標識満艦飾になるだろう険しい山道に信号標識などいっさいなく、自己責任で勝手にしろというところか。これで脱輪でもしようものなら、我モロッコに死す!と、運転手の運に我が身を預けるしかありません。バスのガラス窓を経て入り込む日差しは強く、ツラの皮突っ張ったようで日焼けしたみたい。道路のすぐ傍まで万年雪迫り、谷底の川は豊かに水をたたえ流れは急だ。アトラスのこれだけの水源をもってしてもサハラは乾き続けるんだなぁ。

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現在のサハラ砂漠がまだ海底だった何万年前か?何億年前か?。地殻変動によって完成した風景は、およそ箱庭のようなチマチマした景色しか知らない日本人にとって驚異のひとこと。

モロッコは世界各国からの映画撮影隊の為にスタジオまで作って便宜を図っているのだといいます。

ガイドブックを読むと、ハリウッド製の「カサブランカ」「モロッコ」は別として、「アラビアのロレンス」「ナイルの宝石」などなど、モロッコでロケが行われた名作がリストアップされています。確かに、電柱もココカコーラの立て看板もない、手つかずの自然そのままの荒涼とした土地に、テンガロンハットの男を立たせれば西部劇になるし、SF映画にもなってしまうのだ。

世界文化遺産のアイト・ベン・ハッドウ(要塞化された村)
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そんなこんなで、クルマすれ違うたびにヒヤヒヤしながらも、アトラスの雪解け水に流されることもなく、あぁ、かつて「サハラ砂漠への入り口の街」として何度か耳にしたことのある憧れのワルザザードに遂に足を踏み入れることができた。

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こんな立派なスーパーマーケット(現地風にいえば“スーパーマルシェ”)もあって、電気製品やら日用品は何でも手に入る。砂漠の寂れた街との勝手なイメージに反して整備された街に拍子抜け。それも仕方ないか、ワルザザードの名前を初めて聞いたのは30年も前のことだもの。

人通りの少ないメーンストリートを歩いていくと、アレッ?これはインターネットカフェかな?店内に入り見回すと6台のウインドウズマシーン。「いくら?」と訊けば「1時間4ディラハム(約50円)」の返事。

席に座り、隣のパソコンに目をやると象のセックスシーンを真剣な顔で見てるヤツがいやがる。

サハラの入り口で我が「空気人的身辺雑記」を見るのも一興とURLを打ち込もうとしても、キーボードがフランス式らしくアルファベットを探すのに一苦労。おまけに「@」の場所がわからない。店の青年に「@マークはどこだ?」と訊いても通じない。モロッコでは「アットマーク」と言わずに「アルバスク」とか言うらしい。それも2つのキーボードを押すことでやっと「@」が表示されたのだ。

我がブログを見ていると「@」を教えてくれた青年が興味深そうに寄ってきたので「これはオレが作ってるブログだよ!」と言えば「オマエはプログラマーなのか?」と尊敬の眼差し。

「AIREGINを逆に読むとNIGERIAだろ?このサハラを越えるとナイジェリアになるじゃね〜か」。そのどこが面白いの?というような青年の表情。どうやら「ブログ」とか「ウェブログ」という考え方はないらしい。

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それでも好奇心旺盛の青年で勝手にスクロールしながら、日本語は右から左へ読むのか?とか、待乳山聖天の写真に興味を持ったようで仏教のことを訊いてきたりの回教仏教の友好親善を計ったりしたワケよ。

サイモン&ガーファンクルのCDを見て「これは何だ?」というから、サイモン&ガーファンクルを知らないか?と「♪明日に架ける橋」の一節歌ってあげても通じない。そこでYouTubeへジャンプして「♪BOXER」を聞かせると、納得したような顔してたけれど、ヤツはきっと分かってないな。

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この青年は学校の先生をしているそうで、インターネットカフェ(モロッコではサイバー・ブティックと呼ぶようだ)は二人の弟がやっているのだといいます。

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エッ?!
あんたがた3人は兄弟なの?!
顔が全然似てないジャン!!!

口に出したあと「マズイこと言ってしまったかな?」と一瞬思ったけれど、皆大笑いでまずは安心。

「日本にもこんなサイバー・ブティックがあるのか?」

「もちろんあるよ」

「日本では1時間いくらだ?」

「そうだな〜・・・1時間4ドルだよ」

「エッ?4ドル?!1時間? ここだったら10時間使えるよ!」

「たしかにそうだ」

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思いがけずも辺境の地で
我が「空気人的身辺雑記」を中心にコミュニケーション成立し
愉快な気分で外に出れば
道には人もクルマもなく手が届きそうな星たち
足下から冷気が立ち上るのを感じながら深呼吸すれば
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OH!砂漠の味がする
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かくしてワルザザードの夜も更ける。
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