キミは太陽を見たか
台風接近で雨模様の休日の午後、NHK教育テレビで「イッセー尾形一人芝居」を観ていた。
番組が始まってすぐに、春ごろに観た番組の再放送だと分かったけれど、それでもイッセーさんの大大ファンだから最後まで観てしまった。イッセーさんの一人芝居は、彼の表情の裏セリフの裏を読まなければならないという腹の探りあい。コチラのヨミを外すかのように裏の裏を投げかけられたり、、、いわばゲームをしているようなものだ。
イッセーさん演ずる人たちの右往左往を「バカだなぁ、、、、」と大笑いしているうち、やがて「コレって、オレがモデルじゃぁないかい?」とギョッとしたりするのです。場末のバーのバーテンからエセ芸術家・文化人まで、その“セコさ”をズバリ抉り出して見せるイッセーさんに、もう一つ貴重なキャラクターがプラスされた。
もっとも、このキャラクターを舞台で演ずることは永遠にないだろうけれど。
歴史に翻弄された昭和天皇を主人公に、“現人神”に祀り上げられた天皇が“人間天皇”に移行するまでの悩みを描こうとした監督の意図はよく理解できます。でも私は最初っから最後まで昭和天皇を演じるイッセー尾形の細かな仕草に、あぁ、そういえば天皇はこんな歩きかただった、こんな口ぶりをすることがあった、そんなことばかりに気をとられてしまった映画でした。昭和天皇の魂がのり移ったようなイッセー尾形に「よくぞここまで、、、、」と圧倒されてしまったのです。
イッセーさんにかかっちゃ“単身赴任”のサラリーマンも“アトムおじさん”も昭和天皇もお~んなじレベルにされてしまいます。
この映画のエピソードが史実に基づいたものなのか、想像上の昭和天皇像なのかは知らないけれど、真実であれフィクションであれ、確かに日本ではデリケートな背景をもつ題材であることは間違いありません。そんな理由から、一般公開が危ぶまれていたこの映画もこうしてちゃんと上映され、多数の観客が集まっていることに関係者の心意気と映画ファンの熱意を感じた映画でした。
(銀座・シネハトス1で上映中)
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