山下洋輔を聴きに渋谷Bunkamuraへ
山下洋輔がセシル・マクビー(b)、フェローン・アクラフ(ds)と
ニューヨーク・トリオを組んでから今年で18年目になるといいます。
今回の企画は、
その山下ニューヨーク・トリオをベースにスペシャル・ビッグバンドを編成し
山下洋輔の音を楽しもうという趣向。
ビッグバンドというのが、
サックス5本 トランペット4本、トロンボーン4本
(ピアノ)山下、(ベース)セシル、ドラムス(フェローン)、
(指揮編曲トロンボーン)松本治、それにゲストシンガーにレディ・キムを招いての
題して『山下洋輔プレイズ・ニューヨーク』という、
ちょっとやそっとでは聴けない興味あるセッションです。
演奏曲目はジョージ・ガーシュイン、デューク・エリントン、ビル・エバンス、山下ナンバーと実にバラエティに富んだ選曲で、何といっても最大の聴きものはガーシュインの大作『ラプソディ・イン・ニューヨーク』。今までクラシックのオーケストラと山下洋輔の共演は何度か聴いたことがあって、クラシックのオーケストラを向こうに回し、自分のスタイルを貫き通して熱演する山下さんを聴くたびに拍手喝采してきたものです。
私はただのミーハーな音楽ファンで、山下さんの音楽も社会的現象とをリンクさせてその活動を注視し、その延長で、ムカシムカシ、山下さんのコンサートを主催したこともありました。そのたびに会場側に「ピアノを壊した場合は主催者として弁償しますと」いう“誓約書”などに署名捺印した経験を持つものです(いつもながら70年代のハナシだけど)。
そんな経験を持つ者としては、今日、山下さんの音楽が一般的に受け入れられる状況になったことが嬉しく、ましてやクラシックの殿堂ともいえるホールで銘器と評価されるピアノにゲンコツ喰らわせる姿を見ては、自分の“先見性?”に満足したという、なにやら屈折した感情を持つファンでもあるのです。
そんな、“ジャズ対クラシック”という視点を捨てられずにきたガーシュインナンバーを、今度はジャズバンドでどのように料理するか?に興味を持ってきた私にとって、実際に当夜の最大の聴きものになったのが『♪ラプソディ・イン・ブルー』でした。
その結果、、、、。
何回か聴いたクラシック曲としての『♪ラプソディ・・・』よりはジャズバンドが一番。山下さんも自分のフィールドに立ち、カミシモ脱いでじつに伸び伸びと演奏してるように聴こえます。やはり、退廃と猥雑なニューヨークの雰囲気を出すには、オツに澄ましたクラシックのオーケストラより、ジャズバンドのほうが表情豊かになるようです。
このコンサートは山下洋輔という存在があってこその企画だったけれど、何といっても松本治のアレンジの妙と、スペシャルバンドのメンバーのテクニックの確かさに支えられていたと思います。炸裂するブラス群は日本のジャズプレイヤーの能力の高さを証明し、ゲストシンガー、レディ・キムはステージに華をそえ、正に『山下洋輔プレイズ・ニューヨーク』というタイトルに相応しいコンサートでした。
私は2夜連続でこの豪華コンサートを堪能し、
いまさらながら、山下洋輔という音楽家の多彩な才能を再確認したのです。
そして、
このコンサートが外資系銀行の冠コンサートと知って、
「日本の銀行も儲けてばかりいないで、こういう文化行事に金を出せヨッ!」
などと思ったわけです。
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