ブルース・スプリングスティーンの勝利を我らに
今週の通勤往復は、
CDウォークマンにセットしたブルース・スプリングスティーンの新譜
「ウィ・シャル・オーヴァーカム/ザ・シーガー・セッションズ」
を毎日聴いていた。
このCDは、
ブルース・スプリングスティーンが、
音楽上もっとも影響を受けたピート・シーガーに捧げたアルバムで、
全曲ピート・シーガーのレパートリーを取り上げている。
ピート・シーガーは、
1940年代のアメリカ大陸を放浪しながら埋もれていた伝統の歌を採譜し紹介したことで
“アメリカンフォークの父”とも称されるフォークシンガー。
また、常に弱者の側に立ち、歌を通じて体制に抵抗した姿勢は、
単なるシンガーの枠を超えた社会活動家として知られている。
このアルバムのタイトルになっている
「ウィ・シャル・オーヴァーカム(勝利を我らに)」も、
シーガーによって広く知られた曲で、公民権運動の象徴のような曲。
そのシーガーへのブルースによるトリビュートアルバムは、
ブルースの自宅に気の合ったミュージシャンを集めて制作されたそうで、
ボーナスのDVD(そういえば、最近はCD+DVDのセットが多いなぁ)からは、
そんなミュージシャン達の和気藹々の、実にリラックスしたレコーディング風景が伺えます。
特に奇をてらったアレンジもなく、
ギター、バンジョー、フィドルというフォークソングの基本ともいえる楽器を中心にした素朴なサウンドと、
ブルースのパワフルな歌は、歌に込められた力を現代に甦らせてくれます。
かつて、情報手段が発達していなかった時代は、放浪のフォークシンガーが、
各地の出来事を歌にして行く先々で広めるメッセンジャーの役目ももっていたといわれます。
アンプも拡声器も整備されていない時代は、
こんな風に“生”の音で聴衆に気持ちを伝えなければならなかったわけだ。
ウディ・ガスリー/ピート・シーガーによって確立されたアメリカンフォークは
その後ボブ・ディランの登場でロックと合体したことで多様な広がりを見せました。
ディラン自身の放射熱はもうすでに博物館収蔵の扱いになってしまったけれど、
ディランの熱を継承するブルースは、いまだに衰えぬ創作意欲を見せてくれます。
そんなブルースが、
「花はどこへ行った」「「天使のハンマー」「わが祖国」など、
シーガーの超有名曲を外し、
一般的にあまり知られていない(私が知らないだけかな?)
シーガーゆかりの曲にスポットを当てて先達の偉業を讃え、
さらに自分のルーツを改めて見つめ直したのがこのアルバムです。
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