世界報道写真展2006
映画『ゴーヤーちゃんぷるー』を観る前に、
同じ建物で開催中の『世界報道写真展2006』を見てきた。
展示してある写真に笑顔の写真はない。
憎しみのこもった目で、
あるいは、絶望と諦めの目で、
あらぬ方向を見つめている写真ばかりだ。
たとえば、このチラシの母親らしい黒人女性の写真にはこんな説明がついていた。
今年、大賞作品に選ばれたのはカナダ人カメラマンが撮影したアフリカ・ニジェールの臨時食料配給所で母親の唇に手をあてた子供の写真でした。大きく見開いた母親の目と痩せ細った1歳児の手は、静かにアフリカの危機的状況を訴えかけます。
私がいちばん心に残ったのは、
イラクから死体で戻った夫の埋葬前夜、
パソコンから流れる夫との思い出の曲を一晩中聴いている妻の写真でした。
ノートパソコンのディスプレイが放つ青白い光に浮き上がる、
横たわった妻の姿と夫の棺、それに直立不動の護衛の兵士。
この3点セットは、いつも犠牲になるのは普通の人間だということを教えてくれます。
先行きの見当もつかない写真の中で、
一枚だけニコヤカな笑顔を見せている写真があったことを思い出した。
それは、ニューヨークの5番街だったか?
高級宝飾店の男が、最高の笑顔をつくり上客に宝石を勧めている写真でした。
その隣の写真が、奥地の鉱山で身を削って原石を掘る原住民の姿だっただけに、
男の笑顔が尚いっそう卑しく見えたのです。
たぶん、、、、、。
若くして夫を失うことになったあの女性の苦しみや、
飢えた子供に何もしてやれないアフリカのあの母親の犠牲の上に、
現在の私たちの一見安穏な暮らしが成立しているのだと思うと、
私の気分はうつむいてしまったのだ。
東京都写真美術館
(恵比寿ガーデンプレイス内)
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