ヨコハマメリーはラーダー妃か
戦後の横浜に出現した、白塗り白ドレス姿の街娼・メリーさんを描いた映画『ヨコハマメリー/中村高寛監督』を観にテアトル新宿へ。
メリーさんが男を選ぶ3つの基準があったといいます。
メガネをかけている→アタマが良い。
太っている→お金を持っている。
色が黒い→健康だ。
夜な夜な横浜の街角に立つそんなメリーさんは、自分から声をかけることはせず、これは、と思った男に背後霊のようにつきまとう。自分がメリーさんのオメガネに適ったことを懐かしそうに語る男。
かつて、自身が男娼として川崎の街角に立っていた経験のあるシャンソン歌手永登元次郎(ながとがんじろう)とメリーさんの交流を縦糸にして、クリーニング店の夫婦、美容院の女性経営者、置屋の女将、宝飾店の社長、元愚連隊など、メリーさんゆかりの人々へのインタビューで浮かび上がるのは、ダイナミックに変貌してきた横浜の街並みと、もはや“賤業の女”を突き破り、横浜の風景の書き割りとして馴染んだメリーさんの存在です。
1995年横浜から忽然と消えたメリーさんを偲び、自らがんに侵されながら、
「もう一度メリーさんに会いたい。そして彼女の前で歌いたい」
と思いを募らせる元次郎さん。
もしかすると、
メリーさんは、
ヨコハマメリーという役割を背負って出現し、
インタビューに答えたこれらの人々は、
メリーさんを世話する役割を与えられてこの世に生を受けたのかな。
そう思えるほど、
晴れ晴れした表情をみせてメリーさんを語っているのが印象的でした。
この映画には異物を異物として受け入れ見守ったハマっ子の優しさが満ちていて、
これが本当の「無私の愛」だということを気づかせてくれます。
そして、ラストシーンでは
あふれ出る涙を抑えられず、
私たちは何が何でも生き続けなければならないんだ、
自分の生を全うすることが使命なんだと教えてくれるのです。
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