日本怪死人列伝
日本では大きな事件が起きると誰かが不審な死に方をして、それで最後はウヤムヤのまま幕引きになってしまうことが珍しくありません。
かつての事件で、不審な死に方をした「当事者」、あるいは「周辺にいた人」の当時の資料をもとに、特異な情報網を持つ阿部譲二が大胆な“推論”を立てて事件の真相をあぶりだしたのが、この『日本怪死人列伝/安部譲二/扶桑社文庫』。
取り上げられた事件は、背後に不気味な組織の存在を匂わせるもの、事件性はなくて人間の弱さゆえの死だったと思わせるものなどなど。私は“下山事件”と“帝銀事件”以外はリアルタイムでニュースに接してきた世代だから事件のことは生々しく記憶しています。
第 1章 朝日新聞阪神支局襲撃事件
第 2章 新井将敬
第 3章 下山事件
第 4章 永野一男 豊田商事会長
第 5章 尾崎 豊
第 6章 田宮二郎
第 7章 力道山
第 8章 村井秀夫 オウム真理教幹部
第 9章 帝銀事件
第10章 元大鳴門親方
第11章 ロッキード事件 田中総理運転手・笠原政則
第12章 御巣鷹山の520人
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「死人に口なしだが、証拠は残る。」「決定的な死因、最重要な死因はひとつなのだ。それを私は、懸命に探し出す。新たに得られた証言と、事実の片鱗を示唆している証拠、それに自分自身の経験と知識から私はこの12の事件の真相を推論することにした。」力道山からオウム・村井秀夫、新井将敬、尾崎豊まで、多くの謎を秘めた12の怪死事件に、「名探偵」安部譲二の推論が鋭く迫る。“テレビ・新聞が報じ得なかった”戦後の深淵にも果敢に挑む快書。 |
なにしろ中学生にして渡世の道に入り、前科41犯(だったか?)、元日航パーサーにして現在作家という尋常でない履歴をもつ安部譲二さんのリンク先は、元首相からヤクの売人までこれまた尋常ではありません。
例えば力道山の章はこんなことになります。
私の前刑は府中刑務所で、渡世人ばかり集めた北部第4工場に配属されたら、
なんと、懐かしい村田勝志がいて、同じ雑居房で丸一年間一緒にいた。
優しくて茶目っ気がある好人物だということを、一緒に務めて私は思い知る。
力道山夫人百田敬子さんとは日航の同期で、「力道山刺殺犯」とされた人物とは府中刑務所で同房だったというようなことをサラッと語れる作者だからこその情報を加味し、それぞれの事件の背後にあったかもしれない「?」を大胆に推論していきます。ちなみにこの力道山死亡事件の真相は治療にあたった病院の麻酔ミスによって死に至ったと安部譲二さんは推論しています。
もちろんこれらの事件は公式には既に解決済みということになるけれど、一件落着の報道になんとなく腑に落ちなかった感覚を思い出した私は、「なるほど、こんな側面があったかもしれない」と興味深く読んだワケです。
この本全体に流れるのは、お役所発表だけを取り上げるばかりで自分で調べて記事にしようとしないメディアに対する憤りです。
安部譲二さんは、そのうち、ホリエモン関連で、沖縄のカプセルホテルで亡くなった元ホリエモン側近の事件もネタにしてくれそうな気がします。
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