ゴールデン街の名物ママ
昨年秋発売の週刊誌のこんな切抜きがある。

毎年年末に行われていた『新宿ブルースナイト』は、新宿ゴールデン街の店主有志が後援して開催されていて、出演者も魔窟ゴールデン街つながりらしく、ヒトクセフタクセのメンツ。出演者がこれだから、お客だってワタシなんぞのカタギは肩身の狭いような、見た目ミクセヨクセの面々で、会場は治外法権的ムードを醸しだしていたのです。
この『新宿ブルースナイト』の会場で、毎回、客席最前列に陣取り、それぞれのミュージシャンに声をかけてはウイスキーのボトルを差し入れて、一人で盛り上がっている女性がいました。初めのうちは、「何だアレは?ウルサイ女だな~」と遠くから見ていたけれど、ステージ上のミュージシャンとのヤリトリから、「あぁ、このヒトがゴールデン街の“キヨママ”だったのか」と気がついたのです。素性がわかってしまえば、バーのカウンターを挟んでのママとお客のヤリトリのように思えてほほえましくもありました。
ブルースナイトで見かける“キヨママ”はいつも佐伯俊男画伯イラストの上っ張り状のシャツを着ていて、その洗いざらしの度合いから、このシャツへの愛着の強さが見て取れました。このシャツだって、モロ70年代という代物。

映画関係の常連が多かった。俳優の原田芳雄、根岸季衣、
監督では若松孝二、高橋伴明、黒木和男、崔洋一の各氏ら。
この記事によれば、
「11月20日未明、酔って帰宅し、眠ったまま逝った」
らしい。
だから、今回の『新宿ブルースナイト』には“キヨママ”の姿はなく、例のかけ声も聞くことはできなかったのです。
もちろん、私はゴールデン街で酒を飲んだこともなく、「キヨママ」を個人的に知っているワケでもないけれど、『新宿ブルースナイト』の会場で何回か同じ空気を吸ったことがあるのも“多生の縁”としてご冥福を祈ります。
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